住民協定をご存知ですか?!

  • 2019.01.20 Sunday
  • 13:13
   地域の環境を守るための方法として、自治会・町内会で「住民協定」を定める方法があります。ご存知でしょうか。


   まず、用語解説からしたいと思います。


    私たちの住む地域の環境を守る手段としては、自治会・町内会で「建築協定」や「住民協定」を定める方法があります。


○「建築協定」

    地域に建物を建てるには、建築基準法ほか様々な制限があります。しかし、建築基準法は全国一律の基準のため、なかなか違法建築物に上手に対応できていないのが現状です。個々の地域でもっときめの細かい制限を定めたいという住民からの要望があります。地域の環境を守るために法律に定められた基準以上の基準を定めることを「建築協定」と呼びます。地域が定めた協定を市が認可することで公的な拘束力を持たせることができます。


・「建築協定」を制定する方法


(1)区域は自治会・町内会の中で、概ね1ヘクタール(30戸)が単位となります。


(2)建築で除外できるものは、
ア、共同住宅や店舗の建築を制限する
イ、建物の高さを制限する
ウ、敷地の分割を制限する
……などです。

(3)成立条件
区域の土地所有者、借地権者の全員の合意が必要です。


(4)運営
賛同者の中から代表を選び、運営委員会を組織します。ここで協定者の意見をまとめ協定を運営していきます。


(5)発効
市長に協定書を提出、そのあと公告・縦覧に付し、意見を聴取したのち認可となります。


(6)廃止
区域内の土地所有者、借地権者の過半数の合意が必要です。


(7)違反への措置
市では建築確認申請の際に、「建築協定」を遵守するように申請者に指導します。違反した者には工事の施工停止の請求、違反是正のための必要な措置がとれます。また、裁判所に提訴する手続きがとれます。


鎌倉市ではこの「建築協定」はいくつもの自治会・町内会が定めており、特に敷地の分割の規制や、住宅地での店舗開設を規制したりする上で一定の成果を上げています。

 

○「住民協定」


   内容は「建築協定」とほぼ同じです。こちらは事業者に協定の遵守をお願いし、協力を要請するもので、法的拘束力はやや弱いと言えます。


(1)区域はやはり1ヘクタール(30戸)が目安となります。


(2)除外できるものは、建築協定と同じです。


(3)成立条件
協定区域内の土地所有者、借地権者の概ね80パーセントの合意が必要です。


(4)運営
やはり代表からなる運営委員会を組織して運営していきます。

 

(5)発効
市長に届け出て担当課の決裁が下りれば発効します。

 

(6)廃止
土地所有者、借地権者の過半数の合意が必要です。

 

(7)違反者への措置
合意者には強制力が及びますが、非合意者には強制力は及ばないため、協力をお願いする形となります。市では建築確認申請者に申請時に協定を説明し、理解を求めるよう努めます。

 

 

 

   私が自治会長をつとめる山王台自治会で、今回「住民協定」を制定する運びとなりました。
    きっかけは、自治会内にあった空き家を東京で設計事務所を経営するオーナーが購入し、民泊施設を開設するという話が舞い込んだことでした。平成29年6月に成立した「住宅宿泊事業法」で、住宅を利用した宿泊事業をはじめる場合は、都道府県知事への届け出が必要になりました。さらに管理人が不在の形で民泊施設をはじめる場合は、住宅宿泊管理業者は、国土交通大臣に登録を申請する義務を課せられました。住宅宿泊を仲介する義者も観光庁長官に登録し、その監督をあおぐことが義務づけられました。
   私の自治会内で民泊施設をはじめる業者は、管理人を置かず、インターネットで利用者からの予約をとり、鍵を仲介業者から渡す形をとると伝えられました。
    この形ですと、ゴミ出しのルールが守れるのか大いに不安でした。また、不特定多数の観光客が利用する形になるため、騒音の発生も懸念されました。さらに外国人の利用も予想されるため、地域の治安面も心配でした。

 

    市役所に相談に行ったところ、民泊施設を規制するため「住民協定」を定めた自治会・町内会があると教えられました。それは、鎌倉市常盤にある戸数216区画の住友常盤住宅地です。市から資料を入手したところ、平成30年4月1日に同住宅地の住民組織である住友常盤自治会が「住民協定」を定めたことがわかりました。
   全部で17条からなる「住民協定」では、第7条にこう定めています。


○第7条
「(1)用途は一戸建て専用住宅とする。共同住宅、シェアハウス、ケアハウス、グループホーム、民泊施設、その他営利を目的とした構造の建築物、及び簡単な改装により前記のような営利を目的とした施設に変更可能であると協定運営委員会が判断する建築物は、これを認めないものとする。」


   市によると民泊施設を認めない「住民協定」は、市内ではこれが最初のものとのことでした。


   そこでわが山王台自治会でも、住友常盤自治会に見習い、「住民協定」を制定することにしたのです。
   早々に役員会で条例案を作成しました。

   山王台自治会の「住民協定」は、第8条で民泊施設を規制する内容になっています。


○第8条
「(1)用途は、一戸建て専用住宅とする。民泊施設、貸別荘、共同住宅、その他営利を目的とした施設としての利用は、認めない。」

 

    この条例案を回覧板に入れ、自治会の52戸に昨年11月末、わが自治会内を回しました。賛同する土地所有者、借地権者には住所、氏名を記載の上、押印した紙を入れるように求めました。封筒を回覧板につけて、ここに賛同した方が記入用紙を入れるようにお願いしたのです。


    2週間ほどで4班から回覧板が戻ってきました。封筒を開けたところ、賛同した土地所有者、借地権者が42名になったことがわかりました。52戸で割るとまさに80パーセントに達したことになります。
   そこで12月20日、鎌倉市長にこの「住民協定」を提出しました。無事、景観部建築指導課の決裁も下り、「住民協定」が発効する運びとなりました。民泊施設を規制した「住民協定」は鎌倉市では2例目となります。
    ついでながら、山王台自治会の「住民協定」では、建物の上部の物置も規制する内容になっていることを付け加えておきます。最近、物置を上部の階に設置するケースが増えていることに対応し、この条文も急遽追加したものです。物置は面積や高さに制限があるもののクリアすれば建坪率の対象外になるため、狭い土地の有効利用として造る例が増えて、日照を阻害する問題となっていたのです。山王台自治会の「住民協定」では、第8条の(3)に「建築物は2階建以下とし、3階建に見える物置は自粛する」としました。


    「住民協定」の成立を受けて、私は早々に民泊施設を造りたい旨を伝えらていた東京の設計事務所のオーナーに連絡をとりました。
    オーナーは「改築工事にあたり銀行の融資を受ける予定だったが、法令遵守が前提なので、『住民協定』の成立で事業は困難になりました」との返答をしました。結果的に民泊施設の開設は中止となりました。


   私たちは管理人をきちんと置いた民泊施設まですべて規制する気持ちはありません。今回の「住民協定」は管理人不在型の民泊施設を規制するために、わが自治会内で策定したことを付け加えておきます。
    空き家が増えている鎌倉市で、私たちのような試みは今後かなりの自治会・町内会で検討されるのではないかと思います。2020年のオリンピック・パラリンピック開催も民泊施設の増加に拍車をかける懸念があります。他の自治会・町内会でも私たちの「住民協定」を参考にしていただければこれに勝る喜びはありません。

 

 

住民協定

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