さらに迷走状態に拍車がかかった鎌倉市のごみ処理問題

  • 2017.12.22 Friday
  • 17:35

   この12月市議会で鎌倉市の松尾崇市長は、「鎌倉市のごみの焼却を、逗子市にお願いすることを検討している」と発言し、物議をかもしている。鎌倉市のごみの焼却場について市は、今泉クリーンセンターが廃炉になったあと、山崎の下水処理場の未利用地に建設する旨を発表していた。しかしながら、長年下水処理の悪臭に苦しめられていた現地から反対の声があがり、12の自治会・町内会が反対同盟を結成する動きも出て、計画は暗礁に乗り上げていた。「本来リスクのある施設は分散して造るのが、地方自治体の原則。一カ所にすべて押し付けるのはあまりにひどい」というのが現地の声だ。先の市長選挙の大きな争点になったことも記憶に新しい。こうした反応に苦慮した松尾市長が「山崎の焼却場建設はいつになるかわからないので、お隣りの逗子市に燃やしてもらうことを考えたい」と表明したのである。

 

    松尾市長がこう述べた根拠は、平成28年7月29日に鎌倉市、逗子市、葉山町の2市1町で交わした『覚書』にある。
    この『覚書』の中の「基本理念」の項目には、以下のような記述がある。

 

   ○ 「2市1町は、ごみ処理の広域連携及びごみ処理広域化実施計画の策定について協議を進める」

 

    この『覚書』を根拠に鎌倉市のごみを逗子市に引き受けてもらうという、新たな方向を松尾市長は市議会に示したわけである。

 

     もちろん市議会にとっても、これは寝耳に水の話だった。これまで一環して市は、山崎に新焼却場は建設するとの主張を繰り返してきたからだ。それは市民も同様だ。今泉クリーンセンターの閉鎖に合わせ、ごみを3万トンに減量しなければ名越クリーンセンターの一カ所だけでは焼却量が対応できないとして、平成27年4月に導入された家庭系ごみの有料化にも協力してきた。逗子市に燃やしてもらうというのならば、話が根本から違ってくる。

 

    本当に逗子市に焼却をお願いできるのか、私なりに検証してみた。是非、お読みいただきたい。

 

(1)炉の許容量の問題

 

○鎌倉市の名越クリーンセンター
     
1日あたり焼却量、1炉あたり60トン、2炉を同時に稼働している。つまり1日あたりの焼却量は120トンである。なお、1炉あたり最大限に燃やせる量は62〜63トンである。

 

○逗子市池子の環境クリーンセンター

1日あたりの焼却量、50トンである。70トン燃やせる炉が2つあるが、通常1炉ずつ交代で使用している。70トンをきっちり燃やすのではなく、20トンは余裕をもたせて、50トンを燃焼する方式で運用している。ちなみに、今年7月から逗子市では、葉山町のごみを試行搬入して燃やしている。7月〜11月まで受け入れたごみは、1200トン(1日あたり8トン)で、葉山町が負担したお金は5か月で3600万円(1か月あたり720万円)という。

 

 

◎鎌倉市のごみをすべて逗子市に搬入するのは、数字的に無理であることがわかる。逗子市で処理している1日あたり50トンを2炉燃焼形式に変えても、計100トン。鎌倉市の1日あたりの60トン2炉の計120トンには追いつかない計算だ。逗子市(葉山町)のごみも加味しなければならないので、120トン+50トンとなり、70トン2炉の池子のクリーンセンターでは追いつかない計算となる。

 


(2)耐用年数の問題


○前出した2市1町の『覚書』は、広域化で既存施設を協力して使用することを前提としており、新設する焼却場は検討の対象になっていない。


○鎌倉市の名越クリーンセンター

 

名越クリーンセンターは、平成24年12月〜27年7月まで大規模な改良工事を実施したが、地元の自治会・町内会との約束で平成36年末までしか稼働できない。

 

○逗子市池子の環境クリーンセンター

 

池子の環境クリーンセンターは、平成23年12月〜26年3月まで改良工事を実施したが、炉を使用できる耐用年数はこの改良後10年とされている。

 

◎鎌倉市も逗子市も、つまり既存の炉を平成36年までしか使用できない計算だ。これでは、名越クリーンセンター閉鎖後に山崎の新焼却場で対応するはずだった鎌倉市の方針に合致しない。つまり物理的に逗子市には持っていけないのである。

 

 

(3)人口の比較からの問題


○逗子市の人口は、平成29年12月1日現在、5万7404人。ごみ焼却量は、家庭系と事業系を合わせて、年間1万1000トン(28年度)である。


○鎌倉市の人口は、平成29年12月1日現在、17万2230人。ごみ焼却量は、家庭系と事業系を合わせて、3万6000トン(28年度)。製品プラスチックの資源化が実施されたため、29年度は3万1000トンになる見込み(推定)。


◎人口規模からもごみの焼却量からも、逗子市と鎌倉市とでは、かなりの格差があることがわかる。鎌倉市のごみを逗子市に押し付けるのは、どうみても無理があると思えてならない。リスク分散の考えからも、鎌倉市が逗子市から可燃ごみ以外の処理を引き受けるなど、何らかの役割分担をする必要もあろう。

 

    ここで両市の担当者の声を紹介したい。

 

○鎌倉市の石井康則環境部長

 「山崎の地元の人たちとの話し合いに関して、状況が変わる可能性がなかなかない中で、『覚書』に沿ってソフト面だけでなく、ハード面でどこまでお願いできるか、協議を始めることにしたということです。可燃ごみの処理については今逗子市は葉山町のごみも引き受けています。鎌倉市のごみも、逗子市で可能性があるのかないのか、それを検討していていただく。既存施設でいろいろな可能性を検討していく端緒についたばかりです」

 

○逗子市の石井義久資源循環課長

「『覚書』に沿って、これから協議会で可能性を検討していくということです。協議会には神奈川県の担当者にも入ってもらっています。まだ検討をこれからしていくという段階です」


   ちなみに、先の鎌倉市長選挙で焼却場の建設場所が争点になったことに関して、鎌倉市の石井環境部長は「逗子市で燃やしてもらう話は、山崎の人たちに選挙前にさせていただいた」と証言している。投票行動に影響がなかったかといえば、ないとは言えない状況にあったことがわかる。


    鎌倉市のごみ問題は、さらに迷走状態を深めた、そう思うのは私ばかりではあるまい。逗子市民はこの動きをどう見るか、是非聞いてみたい。

コメント
鎌倉市議会は12月22日、市長に対する問責決議を賛成多数で議決しました。当ブログで指摘した内容の件が問責と合致しています。よく指摘していただいたと思います。鎌倉市民に是非知ってもらいたい内容です。
  • 議会ウォッチー
  • 2017/12/22 7:30 PM
市長のリコール請求しかないと思います。やりましょう!!!
  • 市長のリコールを求めたい市民
  • 2017/12/23 5:00 PM
賛同します。
  • 鎌倉市民有志
  • 2017/12/23 5:01 PM
(ウィキペディア)都道府県知事・市町村長の解職
選挙権のあるもの(有権者)の3分の1以上(有権者総数が40万人を超えるときは、40万を超える数の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上、80万を超えるときは、80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上)の署名を集めて選挙管理委員会に請求できる(地方自治法第81条第1項)。
請求が有効であれば、請求から60日以内に住民投票が行われる(地方自治法第81条第2項)。投票の告示は、都道府県知事については少なくとも投票日の30日前に、市町村長については少なくとも投票日の20日前にしなければならない(地方自治法施行令第116条の2)。
解職投票において有効投票総数の過半数が賛成すれば、その首長(都道府県知事・市町村長)は失職する(地方自治法第83条)。ただし、投票前に対象の首長が職を失い又は死亡した場合は解職投票を行わない(地方自治法施行令第116条の2)。
その首長の選挙から1年間(無投票当選を除く)又は解職投票日から1年間は解職請求をすることができない(地方自治法第84条)。


鎌倉市有権者数 約14万人とすれば5万人分必要

松尾市長獲得票数 466666


  • 湘南一人オンブズマン
  • 2017/12/29 10:36 AM
リコール請求をすると発表すれば、市長が辞職する可能性があります。とにかく動きを見せることが大事です。
  • 鎌倉を愛する会
  • 2017/12/31 9:58 AM
鎌倉のごみを逗子市で引き受けるとなると、パッカー車が鎌倉から逗子市内に何台も入ることになります。騒音と排気ガスも甚大です。このことも無視できません。逗子市民として反対です。
  • 逗子市民
  • 2017/12/31 10:08 AM
同感です。なぜ鎌倉のごみを逗子市で引き受けなければならないのか、わかりません。鎌倉の行政の失敗を逗子市民に押し付けているように思えてなりません。
  • 逗子の子育て世代の市民
  • 2017/12/31 10:12 AM
コメントする








    

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< January 2019 >>

フリースペース


岩田かおる

コメントについて

投稿はできる限りそのまま掲載しています。内容はブログ主宰者が判断しますが、誹謗中傷はないようお願いいたします。

selected entries

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM