市の主張を全面的に覆す違法性指摘の準備書面を提出ーー北鎌倉隧道開削工事公金支出等差止請求控訴事件の報告

  • 2018.02.20 Tuesday
  • 17:29

   北鎌倉隧道開削工事の予算の差し止めを求めた裁判の控訴審は、この2月19日午前10時から、東京高裁で第3回目の口頭弁論が開かれた。前回被控訴人(市長側)が提出した第1準備書面への控訴人(市民側)からの認否・反論書面の陳述が、この日の主な中味となった。

 

    この裁判については、本ブログでも再三書いてきたので、当日の審理を以下に簡潔に報告する形としたい。

 

○裁判の趣旨
    

この裁判を起こした際は、工事の予算支出の差し止めが訴訟の目的だったが、その後予算が支出されたあと工事がいったんストップしたので、市長並びに当時の都市整備部長を被告とし、これまでに使った公金を返しなさいという趣旨の裁判に訴えの趣旨を変更した。


○一審の横浜地裁は理由がないとして、原告の主張を退け敗訴した。

 

○これを不服として東京高裁に控訴したのは、私を含めた鎌倉の市民4人。以下やり取りを整理しよう。

 

○控訴審での市側の主張。


(1)文化庁が北鎌倉隧道の上の尾根に関して文化的価値が高いとして、尾根を破壊することにつながる隧道の開削工事を見直すよう鎌倉市に伝えたのは、平成28年4月の工事着手後なので違法性はない。まして、国指定の「円覚寺境内・名勝及び史跡」に前記尾根が追加指定の検討対象とされた事実もない。

 

(2)平成28年4月4日は開削工事の本体工事ではなく、あくまで準備工事に着手した日である。


その後、(A)風致地区内行為の許可、(B)急傾斜地崩壊危険区域内行為についての神奈川県からの同意書、(C)宅地造成に関する工事の許可書……などを、いずれも平成28年6月17日付けで取得しており、手続きに齟齬はなかった。

 

(3)最高裁は自治体の公金支出に関して、「重大な瑕疵がない限り違法性はなく返還の義務も生じない。また、市長らの裁量権の逸脱は問えない」との判断を下している。今回はこれに照らして、裁量権の逸脱はなく、公金の返還の対象にはならない、と考える。

 

○控訴人(市民)らの反論ーー平成30年2月15日付けで提出した準備書面(1)より


・文化財的価値の問題

 

(1)被控訴人(市長側)の主張は根拠がない。「史跡円覚寺境内・名勝及び史跡保存管理計画」に、北鎌倉隧道の上の尾根について追加指定の検討対象になっていないから、文化的価値を知らず工事に着手した、そう被控訴人(市長側)は主張するが、工事着手前から再三にわたり隧道並びに尾根の文化的価値を伝える文書は鎌倉市に提出されていた。それらの一部を掲げると以下のとおり。

 

(A)一般社団法人  日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長からの要望書(平成28年1月28日付け)

 

(B)北鎌倉・円覚寺の谷戸景観の保存を求める有志の会の学識者による緊急アピール(平成28年4月1日付け)

 

(C)「残したい北鎌倉の景観」展実行委員会による要望書(平成28年2月15日付け)

 

(D)そのほか、アメリカ人のジャーナリスト、ナイリンシュウウィリスト氏からの要望書やイギリス、アメリカの雑誌の香港の支局長による要望書、緑の洞門を守る会からの要望書など、多数の文書が工事着手前に提出されている。

 

 

(2)史跡として指定するためには、被控訴人(市長側)も過去の準備書面で主張するように、土地所有権者の同意が必要である。本件隧道を含む尾根が史跡として指定されていないのは、土地の所有権者が同意しなかったからであり、このことは平成28年度第1回鎌倉市文化財専門委員会でも委員が指摘しているとおりである。

 

・法令違反の問題

 

(1)被控訴人(市長側)は、(A)風致地区内の工事の許可を得たのが平成28年6月17日であること、(B)急傾斜地崩壊危険区域内での工事について神奈川県藤沢土木事務所長の同意を得たのが同年6月17日であること、(C)鎌倉市長の宅地造成に関する工事の許可通知が同年6月17日付けであること……をいずれも認めており、それらはいずれも全て工事着手日の平成28年4月4日よりもあとのことである。


(2)さらに、本件開削工事のための資材を鎌倉市公園課が所有する土地に無断で置いたことを市民に指摘された経緯があり、この許可願いをあわてて申請し、許可書が下されたのは、平成28年4月7日であることも判明している。


(3)被控訴人(市長側)は28年4月4日からの工事はあくまで準備工事であり、本格的な工事ではないから、「許可があとでも問題ない」と主張するが、工事の計画書には準備工事と本体工事を分けた記載等は一切なく、現地に立てられた看板等からも4月4日に工事に着手したことは明らかである。したがって許可の前に工事に着手した法令違反の事実は明白であり、被控訴人の都市整備部長には注意義務違反があることが明らかである。

 


    以上が控訴人(市民側)の第3回口頭弁論の主張の概要である。被控訴人(市長側)は4月6日までに反論書を裁判所に提出することになった。次回の口頭弁論は、平成30年4月23日午後1時15分から、東京高裁824法廷で開かれることになった。

 

     市長側にとっては、控訴人(市民側)の主張する(1)文化財的価値に関して工事着手前に本当に知らなかったのかどうか、(2)風致地区内の工事の許可などの許認可などが工事着手後にいずれも出ている事実に関して法令違反がなかったと言えるのかどうか……など、一つ一つにきちんと具体的証拠に基づいて反論しなければならず、かなり厳しい局面を迎えたと言えそうだ。今回は第1回口頭弁論の席で裁判長自らが、「裁量権の逸脱がなかったのか、重大な瑕疵が市側になかったのか、具体的に示す書面を出しなさい」と異例の発言をして、市側に宿題を出しており、それに対する書面が提出されたものの、中味が不十分だとして控訴人(市民側)が今回反論した経緯がある。裁判所の見方も一審よりかなり厳しくなっていると言える。

コメント
洞門の裁判に注目しています。頑張って下さい。文化財専門委員会の委員からも市の書面の発言の引用部分は真実と異なる、との書面が市民側から出て、市長の言い分はかなり追い込まれています。控訴審の判断に期待したいと思います。
  • 鎌倉市の有権者
  • 2018/02/20 5:59 PM
行政訴訟で首長や自治体の責任ある部署の職員が敗訴した場合は、個人のお金で損害を賠償しなければなりません。公金からは支出できない規定です。松尾市長、当時の都市整備部長は厳しい立場に追い込まれました。
  • 地方自治研究者
  • 2018/02/23 8:17 AM
裁判で市側が敗訴しそうというのに、今回の市議会には、北鎌倉隧道の工事予算1億円を計上した予算案を提出しています。それと別に5000万余円の繰り越し金もあります。もし、議会がこれを承認したら責任を問われるのは間違いない状況です。
  • 市民オンブズマン有志
  • 2018/02/23 8:24 AM



【拡散希望】2018/3/12(鎌倉市議会)広報かまくら第3面詫び状に関する質疑

(中継録画約23分)https://youtu.be/2soz3UKO914

(鎌倉おやじブログ)http://politics-kamakura.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-965c.html

  • 湘南一人オンブズマン
  • 2018/03/17 3:11 PM
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