公文書管理の問題では鎌倉市のレベルも同じく問われている

  • 2018.04.05 Thursday
  • 07:57

    国の公文書管理の問題が大揺れだ。森友問題で文書改ざんが発覚した財務省に続けて、またまた防衛省でも過去の国会答弁で存在しないとされてきたイラク派遣の際の陸上自衛隊の活動報告(日報)が見つかり、大臣の責任問題になっている。改めて公文書の保存と公開のあり方がいま、国民的関心事になっている。


    公文書管理の問題は国だけではなく、各自治体でもその姿勢が問われている。鎌倉市も同じだ。


  この3月30日付けで私のもとに鎌倉市情報公開・個人情報保護審査会から1通の文書が送られてきた。鎌倉市長松尾崇に宛て、審査会長の安富潔氏が出した「行政文書不存在決定処分に対する審査請求について」と題する文書がそれである。市の公文書管理に対する姿勢がわかる事例なので、以下に内容を解説したい。


   前出の文書は、表記にこう記している。


「平成29年11月30日付け……で諮問のあった下記(行政文書不存在決定処分に対する審査請求について)の事案について、別紙のとおり答申します」


   別紙の答申内容は次のとおりである。


「鎌倉市長が平成29年1月17日付けで行った行政文書不存在決定処分は妥当である」


    いきなり文書を並べてもブログ読者には意味がわからないと思うので、まず制度の仕組みを解説しよう。

 

(1)市では情報公開条例に基づき市民が公文書の公開請求を行える制度がある。


(2)市ではこの請求があった日から15日以内に、公文書について、文書を公開するか一部非公開かの決定を下さなければならない。文書がない場合は不存在の決定を下す。

 

(3)この決定に不服の場合は、請求した市民が市に対して3か月以内に、行政不服審査法に基づく審査請求を提起できる。

 

(4)審査請求に対しては市の総務課が対応する。まず市側(処分庁)に弁明書を提出させ、審査請求をした市民に反論書を出させる仕組みだ。場合によっては口頭意見陳述の機会も与え、言い分を聞くという形だ。これらに関しては結論を出すまで何日以内でなければならないという規定はない。


(5)その後審査庁は、学識者と弁護士ら5人からなる第3者機関の情報公開・個人情報保護審査会に諮問する。


(6)審査会では審査請求人から要求のあった場合、やはり口頭による意見陳述を行う。

 

(7)審査会は審議ののち市長に答申し、最終的に市長が結論を下す。


    以上が流れである。今回の事案を改めて記そう。

 

○担当課は当時の地域のつながり推進課(この4月1日より地域のつながり課に名称変更した)。


○市役所の駐車場で毎年開かれていた市との協働事業『3.11ALL鎌倉・東日本大震災被災地支援イベント』に関して、実行委員の一人が突然メンバーから排除されるという事件が起きた。


○排除された人物から相談を受け、私は担当の地域のつながり推進課(当時の課名)に連絡し、この件を話し合う『3.11ALL鎌倉実行委員会』を市役所で開催することを要請した。


○平成27年12月5日に鎌倉市役所議会ロビーで、前記の件を話し合う会議が開かれた。

 

○その日はたまたま土曜日で市役所の閉庁日だった。地域のつながり推進課の職員がこの会議にメンバーとして出て音声を録音し、のちに議事録をテープ起こしした。


○今回、情報公開請求した文書はこの時の議事録の写しである。


○私からの情報公開請求に対して、市は前記したとおり 「文書不存在」の決定を下した。理由は以下のとおり 。

 

(1)会議に出席してテープに録音した職員は、公務員でありながらボランティアとして『3.11ALL鎌倉実行委員会』のメンバーもつとめていた。

 

(2)この職員は公務でなく、私人として会議に出席した、と主張。そのため録音は個人的にとったものにすぎない。

 

(3)したがってテープを起こした議事録も公文書ではなく、公開の義務はない。


   この職員側の主張に対する私の反論は次のとおり。

 

(1)職員は会議の日にタイムカードに刻印して出席している。また、出席者に「公の立場で出席するので録音させてほしい」と事前に告げてもいる。

 

(2)のちに私自身が市役所の地域のつながり推進課を訪れた際に、当該職員の机の上にテープを起こし文字にした紙が置いてあり、これを見せてもらった。職員は「自らの手で文字起こししたものだ」とその際に語った。

 

(3)誰の目にも触れる市役所の机の上に無造作に文書を置いていた事実は、公文書管理の点から問題である。しかもこの事業は市との協働事業となっているが、ボランティアとして参加したと主張する職員が協働事業認可の担当者となっていて、公私混同と言われかねない状態にあった。


   この指摘に対して市側は、以下のように反論している。

 

(1)前記文書は当該市職員が職務上作成したものではなく、個人的なメモとして作成したものである。

 

(2)タイムカードを押して会議に職員が参加しているので公務だと主張するが、上司は当該市職員の会議出席に係る職務命令を発しておらず、公務と位置づけてはいない。


    こうした経緯を踏まえ、市は私からの議事録の文書公開請求に対して、公文書ではないからという理由で「文書不存在」の決定を下したのである。


    審査会も、市側の主張を受け入れ、「文書不存在」の決定は間違っていない、そうした内容の答申を今回出した次第である。

 

    私としてはこの答申に大いに不満である。

 

    国では、自衛隊員がメモとして書き残した南スーダンでのPKO活動の日報に関して、「廃棄した」との防衛省側の国会答弁が一転した。のちに自衛隊内にメモを保管していた事実が発覚し、当時の防衛大臣が辞任、事務次官や幕僚長が懲戒処分を受ける事態にまでなった。これも当初は私的メモだとして言い逃れしていた事案である。


   鎌倉市でも今回の事案は、職員の私的なメモだから公文書ではないと言い逃れしている。それを審査会も追認した格好だ。しかし、今回送付された答申書には、重大な齟齬が記載されている。


    それは、答申の三枚目に「なお、本件請求対象文書は、当該市職員によって廃棄されている」との記述がある事実である。


    行政不服審査法に基づき文書の存在、不存在を係争していて、まだ結論が出ていないにもかかわらず、「職員が文書を廃棄した」とは!!

 

    弁護士や学識経験者からなる情報公開・個人情報保護審査会は、この記載を全く問題視していない。

 

   審査中の事案の文書を市職員が廃棄してしまったとは驚くべき行為であり、財務省による森友問題の文書改ざんにも匹敵する大問題とは言えないだろうか。鎌倉市の公文書管理の姿勢が問われる事例と考え、今回ブログにしたためた次第である。皆さんはどう考えるか、お聞きしたい。

コメント
4月5日付けの新聞各紙に鎌倉市役所を深沢に移転する方針について、公共施設再編計画策定委員会の答申を受けた市長が正式に決定したと出ていたが、やることはもっと他にある。公文書管理もきちんと出来ない市に新庁舎を建設する資格はない。市民は怒るべきだ。
  • 鎌倉市民
  • 2018/04/05 8:43 AM
失礼しました。市役所の深沢移転を市長に答申したのは公的不動産利活用推進委員会でした。まず公共施設再編計画策定委員会が建て替えか移転かを検討し、公的不動産利活用推進委員会が深沢に決め、今は本庁舎整備策定委員会が中味を検討しているということです。委員会ばかり多くて市民不在ですね。
  • 鎌倉市民
  • 2018/04/05 9:09 AM
本庁舎整備策定委員会は正式には本庁舎整備委員会が正しい名称でした。市民代表は入っていないそうです。市庁舎移転よりも行政資料コーナーを充実させ、市の公文書館を新しく造り、公文書の保管と公開の仕組みをきちんと策定するほうがよほど市民サービスにつながると思います。
  • 鎌倉市民
  • 2018/04/05 9:16 AM
【拡散希望】2017/3/30鎌倉市本庁舎整備方針について
赤松議員質疑(最優先課題は山崎新ごみ焼却施設)
松中議員(公共施設建設の歴史を語る)

2018/4/5(カナロコ)「鎌倉市庁舎、深沢移転」へ 議会全員協議会で松尾市長

http://www.kanaloco.jp/article/322220

(中継録画約6分半) https://youtu.be/K_BgeVhv-qU


コメント;審査庁は答申を受けて裁決書を作成します。

     その結果をもって横浜地裁に提訴するしかありませんね。
  • 湘南一人オンブズマン
  • 2018/04/05 9:55 AM
森友問題が国会で盛りあがった際に、官邸前で「役人(官僚)頑張れ」とシュピレヒコールをあげた市民団体がいた。しかし、今回の防衛省の文書隠しを見ると、とても役人頑張れなどと言える状況ではないことが判明した。何しろ海上自衛隊まで、日報の存在を隠していたことが明るみに出たのだから。役人は、国民が信頼などしてはダメのようだ。
  • 鎌倉有権者
  • 2018/04/06 9:44 PM
文書を破棄した職員は、問題だ。私的メモならどのようにしてもいいとの感覚だろうが、公務員としての自覚がない。
  • 鎌倉を愛する会
  • 2018/04/07 9:17 AM
鎌倉市の規定では、「『組織共用されていない』『課内で情報共有をしていない』という文書は公文書でない、とされています。すなわち、鎌倉市情報公開条例第2条第2号に、行政文書の規定がこう書かれているのです。「職員等が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関が保有しているものをいう」。となると、組織共用あるいは課内で情報共有をしていない文書は、公文書ではない、ということになる。個人的なメモであるからとの理由で公開をさけてもいいとの判断がまかりとおるならば、自衛隊の日報は公開しなくていいことになる。課内共有であること、との条例の考え方は改めるべきではなかろうか。
  • 市民オンブズマン有志
  • 2018/04/07 9:41 AM


市民オンブズマン有志の方へ

「課内で情報共有をしていない」との文言は(鎌倉市)情報公開ハンドブックにも情報公開条例にもありません。

ご確認ください。

------------------------------------------------------

地方公共団体が保有する公文書は,現在および将来の住民の「共有財」ないし「知的資源」である。

文書の適正な管理は情報公開制度の前提を損なう事態であり,情報公開制度の趣旨ひいては民主主義の根幹にかかわる問題であったといえる。

憲法で保障された住民自治の理念の実現と,適正な公文書管理が行われるよう論ずべきである。

  • 湘南一人オンブズマン
  • 2018/04/07 1:11 PM
情報公開条例第2条第2号にある「実施機関が保有」という文言の意味が課内での共有を指すのだそうです。審査会の判断ではそうなります。解釈がおかしいと私も思います。市をただす必要がありそうです。
  • 市民オンブズマン有志
  • 2018/04/07 2:14 PM
一人オンブズマンさんへ
鎌倉市情報公開条例は第2条第2号に「ただし書き」があり、(ア)として 「職員等により組織的に用いられていないもの」を行政文書から除くと規定しています。つまり課内で共有されていない文書は公文書とならず、情報公開の対象とならないのです。今回の情報公開・個人情報保護審査会の決定もこれを根拠にした、と答申に記載しています。おかしな規定と考えますが、明文化されているのです。
  • 岩田薫
  • 2018/04/07 9:45 PM


2018/4/1(カナロコ)「書き換え有り得ぬ」自治体職員からも厳しい目

http://www.kanaloco.jp/article/321340

コメント:行政は嘘をつくことを肝に命ずる必要があります。

行政文書公開請求で次から次へと公文書を集めて矛盾を突くより方法がありません。

なお、『組織共用されていない』ことの一部に『課内で情報共有をしていない』を含みますが、他部署で情報共有している場合もあります。

カナロコ記事にある藤沢市事案はその事を示しています。

『課内で情報共有をしていない』と明文化されていないし、限定して解釈することは危険です。

  • 湘南一人オンブズマン
  • 2018/04/08 5:36 AM
以前に、トンネル技術協会への複数の職員の再三、再四の出張について、出張報告を
作成していないことを建設常任委員会の陳述で訴えたことがあるが、
市の回答は「委託先(トンネル技術協会)が議事録を作っているから、出張報告は不要と判断
している」であった。
目の前でこんな返事を聞いて、委員の議員さんは誰も糺さなかった。
こんなことの蓄積が公文書管理を杜撰にしている。
松尾市政を生きのびさせているのは議員たちではなかろうか?
今、松尾氏まわりの問題はどれひとつとっても辞任ものであるはず。
今の国会のようにひとつのことを徹底的に追求する気迫が市の議員にない。
結局議員さんはダラダラ委員会を1日やっていれば給料をもらえるからそれでいいのだろう。
なお上記の件、委託先の職員は「詳しく議事録を書きたいが、市の職員が『詳しく書くな』というので。。。」
と言っていた。鎌倉市の病根は深い。
  • ruriakane
  • 2018/04/11 1:01 AM
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