江ノ電社会実験に物申す

  • 2017.04.29 Saturday
  • 16:52

    鎌倉市では、この5月6日に江ノ電に沿線住民らを優先乗車させる社会実験を実施することになった。市の交通計画課が告知した内容はこうだ。

○GW期間中の5月6日(土)の午前10時〜午後4時まで、江ノ電沿線(長谷駅〜腰越駅)に在住、在勤、在学の住民に対して、事前に市役所で発行した「江ノ電沿線住民等証明書」を掲示すれば優先乗車させる。鎌倉駅構外の乗車待ち列には並ばずに、係員が駅構内の列の最後尾に案内する。証明書は入場時に西口改札で提示すればよく、あとで回収する仕組み。

 

    これが社会実験の内容だが、今回の結果を見て市では、今後土曜日曜や祭日などに同じ優先乗車を恒常的に導入するか決める方針だ。


    社会実験に市が乗り出したことは評価したいが、いくつか不満がなくもない。

 

(1)列の最後尾に住民を並ばせるのでは、混雑時にいつ乗車できるかわからぬ状況に改善があるとは思えない。


(2)朝のラッシュ時にJRや地下鉄などが首都圏で導入している「女性専用車両」 を参考に、江ノ電も一車両を「地元優先車両」にして、観光客を乗せない形にした方が効果的ではないか。


(3)今回の社会実験では、市の告知に「『江ノ電沿線住民等証明書』をお持ちでないお連れの方はご案内できません」との断り書きがある。友人や親戚等を駅に迎えに出ても、別々に乗車することになり、これは不便このうえない。

 

    以上が改善点だが、江ノ電をめぐっては、前々からさまざまな問題が沿線で起きている。

 

    その象徴が、稲村ヶ崎駅のすぐ近くで起きた「踏切強行閉鎖事件」だろう。
    これは、稲村ヶ崎駅の鎌倉寄り約70mのところにあった踏切を江ノ電が住民への告知もせずに、当然閉鎖したこと。この踏切は鎌倉市が設置した駐輪場の真ん中のスロープから線路をまたぐ形になっており、駅南側の多くの住民が利用していた。この踏切のすぐ近くでお年寄りが線路をまたごうとして電車と接触する事故があり、江ノ電は強行閉鎖に踏み切った経緯がある。


    実は閉鎖された踏切は、かつての稲村ヶ崎駅のホームがあった場所に設置されており、駅を今の位置に移動する際に、住民のために横断箇所を江ノ電側が用意したという背景がある。


「江ノ電はもう少し鎌倉寄りにある自動車が通る踏切まで側道を設け、歩行者はここを迂回してほしいと伝えてきたが、駅まで大回りになり不便このうえない。また、津波などが発生した際に緊急避難するには閉鎖された踏切が一番便利。説明もなしに強行閉鎖したのは納得できない」そう述べる沿線住民たちは、江ノ電側と何度か協議の場を持つことになった。その結果、改めて踏切を復活させ、非常時や必要な時には住民が扉を開けて横断できる旨を織り込んだ協定書を近く会社側と結ぶ方向で、現在協議している最中だ。

 

    私もこの話し合いの場に同席させてもらったが、最近興味深い文書を入手した。


    きっかけは江ノ電が「わが社は鉄道線路の道路への敷設許可を国土交通大臣から10年ごとにもらっている」と話し合いの席で述べたこと。民家の間の狭い場所を縫うように走る江ノ電は、線路の専用土地が確保できず、国道や県道、鎌倉市や藤沢市の市道の一部を線路用地として使用して電車を走らせているという。


    この話をもとに調べた結果、江ノ電は神奈川県を介して10年ごとに「鉄道線路の道路への敷設許可」を国土交通省に申請し、大臣の許可をもらっていることがわかった。

   
    私たちは神奈川県に情報公開を申請し、この「許可書」を入手した。至近の「許可書」は平成29年3月13日におりたばかり。鎌倉市道としては、腰越で361m、七里ヶ浜で266m、稲村ヶ崎で226mほかを鉄道線路として使わせていることがわかった。そのため市道が狭くなって住民が車の走行ですれ違いに不便を強いられているという現状がある。


    実は許可の申請時に、「道路を所有する神奈川県知事、藤沢市長、鎌倉市長ら道路管理者に意見を聞くこと」との条件が付されていることがわかったのだ。


   この条件に基づきお伺いの文書が送付された鎌倉市長は、平成29年1月1 9日付けで回答書を提出していることがわかった。

 

    松尾   崇鎌倉市長は、「道路に鉄道線路(江ノ島電鉄線)を敷設することの許可の継続申請について(回答)」と題した文書で、ただ一行、「  回答    意見なし」とだけ記載している。

 


    観光客による大混雑でたびたび積み残しが発生している江ノ電の状況を見ている鎌倉市長が、「沿線住民の足として優先乗車の方策を検討すること」、あるいは「稲村ヶ崎で起きたような踏切の強制閉鎖などが今後ないよう善処を求める」といった条件を、今回の許可申請に際して付すことも出来たはずである。あまりのそっけない市長の回答に言葉を失うのは、私ばかりではあるまい。

 

    今回の「許可書」には、行政不服審査の制度に基づき、「この処分に対して不服があるときは、処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に国土交通大臣に対して異議申し立てをすることができる」との文章も書かれている。沿線住民として、場合によってはこの制度を使い、踏切閉鎖問題や乗車不能問題などの改善を求め、行政不服審査請求を提起することも検討してよいかも知れない。その場合、「当事者適格がない」と言われるかも知れないが、最近の原発再稼動差し止めの法的な措置を求める運動で、利害関係人に近くに住む住民を認める判例が出ており、認められる可能性が高い。

 

    GWの江ノ電乗車の社会実験からさまざまな問題点が見えてきたと言えないだろうか。

 


 

コメント
江ノ電が公道を使用して線路を敷いていることがよくわかった。ならば踏切の強制閉鎖などとんでもない暴挙だ。市の協力なしに電車を運行できないのだから、地域住民のことも考えるべきだ。
  • 鎌倉を愛する市民の会
  • 2017/04/29 6:02 PM
江ノ電の線路に市道を使わせることに「意見なし」はないだろう。市民を代表して述べているのか!
  • さよなら! 現市長さんの会
  • 2017/04/30 5:28 AM
江ノ電の線路を渡って玄関に入る形の家が鎌倉にはたくさんある。お互いの立場を尊重しているのに踏切の強制閉鎖はやはりおかしいと言わざるをえない。
  • 和田塚の住民
  • 2017/04/30 10:13 AM
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