『新春のつどい』を中止した本当の理由とは?

  • 2017.11.25 Saturday
  • 18:09

   毎回新年に行ってきた「新春のつどい」について、来年1月は開催しないことを、鎌倉市が決めた。


   「新春のつどい」は、毎年1月の上旬に、市長、市民、市役所幹部、神奈川県関係者、国会議員、県議会議員、市議会議員、自治会長・町内会長ら市内関係団体幹部らが一堂に会する新年の賀詞交換会として、平成8年度から鎌倉市、鎌倉商工会議所、鎌倉市観光協会の三者による共同開催で実施してきた。この恒例の行事を中止するのは大英断と言ってよい。しかし、会場に使用してきたプリンスホテルにとっては、お得意様がなくなったことになる。以下に私なりに中止になった理由を考えてみた。

 

(1)予算の問題


   「新春のつどい」は、その予算が問題となったことがある。8年近く前、鎌倉市版の事業仕分けで、判定委員から「見直し」を言い渡された経緯がある。理由は、必ずしも全ての市民が参加できるものではない新年の挨拶に公費を支出することはいかがなものか、ということ。公共性が問われたのだ。


    開催についての告知は、市内の自治会長や町内会長、議員、民生委員など有力者に、市の秘書広報課が事前にハガキを出す形をとっている。『広報かまくら』には、やはり事前に「誰でも参加できます」との案内文を掲載してはいるが、ハガキで有力者に招待する形式をとっているのは確かだ。中には「私も鎌倉の名士になったのか」とハガキが郵送されて感激する市民もいると聞く。しかしながら、ハガキはそれなりの役職につく市民にしか送付されず、この点が公共性を問われる公費を使った催しとして許されるのかが、問題視されたのである。


    そこで市は参加者に開催費用の一部を負担させる形をとることとなった。平成22年までは一人1000円を徴収していたが、事業仕分けで問題となったのを受け、23年からは一人2000円の徴収に変えられた。


    市によると、一人1000円徴収の時は、公費で各回約80万円弱を開催費用に負担し、一人2000円を徴収するようになってからは、公費から各回50万円を支出してきたという。

 

    今回、鎌倉市は共催者と連絡をとり、公費負担の催しとしてはやはりふさわしくないとして中止を決定した。

 

(2)念頭挨拶を豪華ホテルでやっている問題

 

    プリンスホテルのコンベンションルームで開催される催しは、市長や議員にとっては、華やかな名刺交換の場所となってきた。「新春のつどい」では、毎回入り口に、市長、商工会議所会頭、観光協会会長が立ち、来場者を迎える形式をとっている。これに華を添えるのが前年選ばれた「ミス鎌倉」のお嬢さんたち。「新春のつどい」はミス鎌倉の御披露目の場所も兼ねてきたのである。

 

    ここ数年は、商工会議所会頭である豊島屋の代表取締役、久保田陽彦氏が市長と並んで入り口に立つシーンが恒例となっていた。冒頭の挨拶で舞台上には、市長、国会議員、県議会議員、市議会議長、ミス鎌倉らと並んで久保田会頭が立つのが通例だが、市長よりも久保田氏の方が目立ち、心ある一部の市民から顰蹙を買っていた側面がある。

 

    市側は、市長の念頭挨拶が毎年『広報かまくら』の1月1日号に掲載されていること、ホームページにも掲載されていることなどから、近年普及しているソーシャルネットワーキングサービスや各種メディア、各種広報・公聴事業での代替が可能であるとの理由から、中止を決めた。

 

   これは豪華ホテルでやってきたことの反省に立ち、経費削減、公共事業のスリム化を求めた結果、生み出された結論と言える。

 

    この決定に反対する声がないわけではない。選挙を意識した議員や候補予定者には、これほど顔を売るのに便利な場所はない、との考えからだ。


   市は紙面やネットで念頭挨拶はよいとの考えだが、波紋を呼びそうだ。

 

(3)来賓にヤジが飛んだ問題

 

   もう一つ、「新春のつどい」の中止を決めた要因に、今年1月5日に起きた騒動がある。私自身がその当事者だ。

   

   今年の「新春のつどい」の冒頭、舞台に立った中村省司神奈川県議が挨拶している際に、私は大声で「早く議員を辞めて下さい」とヤジを飛ばした。これは昨年の「新春のつどい」でも行った行為だ。すでに本ブログでも再三にわたり書いているとおり、中村県議の政務活動費の不正をめぐり私は係争中である。一審の横浜地裁、二審の東京高裁とも518万を超える政務活動費の不正を認め、すべて架空支出だと認定し、知事に返還請求するよう求める判決を下した。現在、最高裁に知事側が上告しているが、近く判断が出る見込みだ。弁論を開く旨の連絡が今に至るもないため、一審、二審で出された違法認定の判決が確定する見込み。つまり、架空の印刷代金として518万余円を中村県議が詐取した件が裁判所の確定判決となる可能性が高いのである。私はこの裁判の原告の立場で、まだ裁判の途中ではあったが中村県議に「責任をとって辞職しなさい」と「新春のつどい」の場で大声を張り上げたのである。背景には各地で不正を働いた議員がいずれも報道された早い時点で、皆潔く辞職してきたとの事実がある。

 

    昨年はヤジを飛ばしても何事もなかった。ところが今年は、市の職員と商工会議所の職員二人が私を羽交い締めにして、会場の外へ連れ出したのである。ボタンが千切れるほどの力で連れ出されたのだ。

 

   このことがあとで鎌倉市議会で問題となった。1月11日に総務常任委員会協議会が開かれ、議題となった。

    議員が市側に指摘した内容は次のとおり。

 

○成人のつどいでは、会場で騒ぐ新成人がいても、力で排除はしない。


○同じ市主催の行事なのに、市民を強制排除するとは問題ではないか。

 

○強制排除は公務でしたのか。それはありえないはずだ。

 

   指摘された意見はこのようなものだった。結局、市側が「配慮が足りなかった」として謝罪することとなった。


   2月の定例市議会の総務常任委員会では、再びこの件が議題となった。当時の春日和美秘書広報課担当課長が、次のとおり答弁している。


「1月11日の総務常任委員会協議会において御指摘をいただきましたが、その中で委員(議員)から、強制的に排除したことについて相手の方に謝罪すべきという御指摘もいただきました。その後、2月1日に先方に御連絡をし、面会をお願いしました。先方の御都合で2月3日に市役所にお越しくださることになり、経営企画部次長と私とでお会いしました。その場において、私どもからは、このたびの対応には配慮が足らず申わけなかった。とおわびを申し上げたところ、先方からは、おわびいただいたことは了解した。こちらもああいった席で騒ぐのはよろしくなかった。これでお互い水に流しましょう。とおっしゃってくださり、御理解いただけたものと受けとめております。今後は、十分に配慮を持って職務に当たりたいと考えております」(市議会速記録より原文のまま)

 

   市が謝罪したこと、和解したことの経緯は、春日さんの答弁のとおりである。私はその場で二人の市の職員と笑って別れた。春日さんはその後、病気で急死された。誠に残念との思いでいっぱいである。しかし、先の委員会での発言にあるとおり、なんのあとくされもなく笑いながら「お互い水に流しましょう」と語って別れたのであり、春日さんの心労になったとは考えられない。

 

    仮に来年も「新春のつどい」が開かれ、中村県議がまだ辞職していないまま来賓として舞台に立ったなら、再度私がヤジを飛ばすのではないか、だったらこの際催しそのものをなしにした方が無難だ、そう市側が考えた可能性はあるのだろうか。

 

   9月15日に開かれた総務常任委員会では、「『新春のつどい』を開催しないことといたしました」との市の報告に対して、森功一市議が次のように質問している。


「直接的な何か原因があったからということではないということでよろしいですか。確認です」


   それに対して、林浩一経営企画部次長兼秘書課長が、こう答弁している。

 

「これまでも検討の必要が指摘をされて提起されていた中で行ってきておりましたので、特別何か事情がということではないということでございます 」(速記録原文のまま)

 

    わざわざ森議員が質問していることといい、春日さんのあとの秘書課長がそっけなく答えていることといい、裏を考えたくなるのは私ばかりではあるまい。


    いずれにしても、今年の騒動が中止の遠い原因の一つになった、との見方を否定できないのではあるまいか。

 

    以上、「新春のつどい」が中止になった背景を分析してみた。鎌倉市の行政の現状を考えるヒントになったら幸いである。

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